全くのピアノ初心者の大人でも、練習すれば上手になれるのか
全くピアノに触れたことがない大人でも、地道な練習をすれば必ず弾けるようになります。
もちろんコンクールに出場して入賞するには、幼い頃から特訓を積まなければなりません。しかし趣味で楽しくピアノを学ぶのであれば、年齢は全く関係なし。
ピアノは「誰が弾いても音が出る」楽器です。
弦楽器や管楽器などは、まず音を出すこと自体で苦労します。その点で言うと、ピアノは誰もが始めやすい王道の楽器でしょう。
「一生勉強できる何か」をもつことは、人生の充実度アップにつながります。
ピアノを触ったこともない大人がピアノを学べるのか
みなさんが一番気にしているのは「独学できるのか」「教室に通ったほうがよいのか」ということではないでしょうか。結論から言うと、ケースバイケースです!どんな目的をもってピアノをするかによって変わってきます。
独学でもOKな人
- 楽譜を見て簡単な曲を演奏できるようになりたい
- 親しい人達に聞いてもらいたい
- 動画を撮って趣味として配信したい
- 好きなポップス曲やジャズを演奏したい
教室に通ったほうがよい人
- クラシック音楽を本格的に学びたい
- 表現力を磨きたい
- 難曲を弾きこなせるようになりたい
多くの方は大人になってからのピアノ学習にそこまで大きな目標を掲げてはいないでしょう。
ピアノ未経験の苦労ポイント
大人のピアノ上達のさまたげになるのは「手首のかたさ」と「音感の無さ」です。子供の頃から勉強していると、手首の使い方が自然に身に付き、頭も柔らかいので音感が鍛えられます。
ピアノを弾ける人が一度聞いた曲をすぐ覚えられるのはこのためなんですね。大人になってこれらの能力を身に着けるのはなかなか難しく、その人の元々の能力が大きく影響します。
練習できる時間や環境も人によって違うので、一概に「これくらい練習すれば弾けるようになる」とは言えません。逆に言えば、練習したらしただけ上手になる、というシンプルな答えにたどりつきます。
大人がピアノを始めた理由と上達速度
筆者は大人のためのピアノ教室で講師をしています。生徒さん達は、年齢・職業・生活スタイルなど様々。忙しい中でも、楽しんで通って頂いています。
ピアノを楽しむのに年齢は関係ありません。生徒さん達がピアノを始めた経緯や、どのくらいの練習量でどれだけ上達しているのかなどをご紹介します。「ピアノを始めるかどうか悩む…」「自分はどれだけ上手になれるのだろう」「昔習っていたピアノを再開したい」という方の励みになれば幸いです。
Uさん/男性/49歳既婚/保険の営業マン
- ピアノを始めたきっかけ
- 「21歳の娘の結婚式で、福山雅治さんの『家族になろうよ』をサプライズで演奏したい」と考え、レッスン開始
- 目標
- 結婚式で披露する1曲を完璧に弾けるようになりたい。できれば楽譜も読めるようになりたい
- レッスン
- 1回45分/月4回
- 練習量
- ピアノをまだ持っていないため、自宅で練習はできない。音源を聴いて、イメージトレーニングのみ
- 上達の様子
- 真ん中の“ド”の位置も分からない状態でレッスン開始
- 最初は子供向けの教本で勉強
- 半年もしないうちに基礎的な知識を身に着け、目標としている『家族になろうよ』を初級レベルの楽譜で練習開始
- レッスン開始から10か月目にして、楽譜の残り1ページまで到達
Yさん/男性/31歳独身/大学講師
- ピアノを始めたきっかけ
- 小学生の頃少しピアノを習っていたが、忙しくなりだんだん遠のいていった。大人になってから「またピアノをやってみたい」という気持ちが芽生えてレッスンに通うように
- 目標
- 正しい奏法を身に着けたい。ジャズを演奏してみたい
- レッスン
- 1回45分/月2回
- 練習量
- 仕事が忙しく、毎日のコンスタントな練習はできない。休日など時間がある時に集中して数時間練習
- 上達の様子
- レッスン初日から、かなりたどたどしくではあるがモーツァルトの『トルコ行進曲』を弾けるレベル
- 元々ピアノを習っていたので上達は早い
- 自宅での猛練習が効いて、レッスン開始から半年後には映画『ラ・ラ・ランド』の有名曲『ANOTHER DAY OF SUN(アナザー・デイ・オブ・サン)』を中級レベルの楽譜で弾けるように
- しかし、まだ音を「出しているだけ」の状態であり、表現力豊かに演奏する努力が必要
Mさん/女性/52歳既婚/主婦
- ピアノを始めたきっかけ
- もともとピアノに憧れていたが、主婦業が忙しく挑戦できないままだった。子育ても落ち着いて自分の時間をもてるようになり、レッスン開始
- 目標
- 趣味で楽しく弾きたい。簡単な楽譜を見て演奏できるようになりたい。身近な人達に披露したい
- レッスン
- 1回45分/月2回
- 練習量
- 気が向いた時のみ練習。基本的にレッスンの直前にしかピアノを触らない
- 上達の様子
- 特に目指す目標があるわけではないので、レッスンそのものを楽しんでいる様子
- 2年間自身のペースで練習を続け、初級の曲集は講師のサポートがあればスローテンポで弾けるように
未経験からピアノを始めた大人のブログを励みにしよう
実際、未経験からピアノを始める大人はたくさんいます。その挑戦を記録しているブログなどもあるので、始めようかどうか迷っている方はぜひのぞいてみてください。
目標も上達速度も人それぞれ。大事なのは「自分らしく」楽しむということです。
KAORUさん/40代男性/ピアノ歴約1年半
kassii3さん/50代男性/ピアノ歴7年
ピアノ時々ピアノさん/30代女性/ピアノ歴12年
もしピアノを始めたならば、自分の成長記録をつけてみると楽しいですよ。それが誰かの励みになるかもしれません。
ピアノ教室で学ぶ場合にチェックするべきポイント9選
教室に通ってピアノを学ぶ場合、まずは体験レッスンを受けることをおすすめします。というのも、自分にあった教室を選ばないと続けるのが苦痛になってしまうからです。体験レッスン時にチェックしておきたいポイントをご紹介します。
1.通いやすい場所にあるかどうか
立地はかなり重要なポイント。いくら気に入った教室でも、通うこと自体に苦痛を感じるのであれば、だんだんおっくうになってしまうからです。
天気が悪い日でもストレスなく行けそうですか?重たい教材を持って歩くのは大丈夫そうですか?車で行く場合は駐車場代がかかるかどうかもチェックしておきましょう。
2.レッスン代は今後も払い続けられそうか
ほとんどの教室が月謝制でしょう。大人のピアノレッスン料金は、子供よりも高く設定されていることが大半です。
レッスン代に加えて教材を別途購入しなければならないこともあるので、無理のない範囲で通える所を選びましょう。大手の教室よりも、個人教室の方が安く設定されている傾向にあります。
3.先生との相性
これが一番大事で、見極めが難しいポイント。余計な雑談は一切なく厳しく指導してほしい、世間話も交えながら楽しくレッスンしたい、多少大げさでもオーバーにほめてくれる先生がいいなどなど…人それぞれ好みが分かれます。
体験レッスンだけで判断するのは難しいものの、“第一印象”は手がかりになります。少しでも「何か違う」と思ったら、考え直したほうがいいかもしれません。
4.レッスンを欠席した際の対応
通い続けていると、どうしてもレッスンを休まざるを得ない場面があると思います。レッスンを欠席した時にはどのような対応をしてもらえるかもチェックしておきましょう。
振替レッスンをしてくれるところ、その分のレッスン料金を差し引いてくれるところなど。意外と見落としがちですが、お金を払うのですから重要なチェックポイントです。
5.発表の場があるかどうか
多くの方は「上手になったら誰かに聞いてもらいたい」と密かに願っているのではないでしょうか。少しでもそんな思いがあるなら、練習の成果を発表できる機会があるかどうか確かめておきましょう。発表会があるとなると、目標をもって意識を高く保ったまま練習できます。
6.他の生徒さんとの交流があるかどうか
少なからず「音楽を通して仲間が欲しい」という気持ちがあると思います。一緒に頑張る仲間がいることは、大きな励みになりますね。教室によっては交流イベントを開いたり、生徒さん同士をペアにして連弾させてくれるところも。こういった点も確認しておくのがベターです。
8.教材の購入方法
レッスンに使う楽譜はどうするのか、きちんと確認しておきましょう。持参したものでいい場合もありますし、先生の指示で購入しなければならないこともけっこうあります。楽譜だけでなく、勉強のためのドリルやメトロノームなど、ピアノ学習に必要な道具はたくさん。最初に聞いておかないと、後から出費がかさむということになりかねません。
9.休会・退会が簡単にできるかどうか
休会・退会のシステムも確認必須の事項。お金が絡んでくる部分になります。何か月前かに申請しないと受理してもらえないという教室もあり、レッスンを受けないのに月謝がかかることも。損しないためには最初で確認しておくことが大切です。
体験レッスン後にその場で入会を求められることがほとんどです。講師は生徒に入会してもらいたいので、熱が冷めないうちに申し込みさせたがります。しかし勢いで入会してしまうとのちのち後悔することにもなりかねません。何件か体験レッスンをまわり、自宅でゆっくり比較検討するのがよいでしょう。ピアノの上達には継続が一番大切なので、長く楽しく続けられる教室を選ぶことが重要です。
終わりに
ここまでピアノ初心者の人がどれくらいの期間でどれほど上達するか、事例やブログを紹介してきました。また、教室で学ぶ場合にはどのような点で選べばよいかを書きました。
人生一度しかありませんので、是非後悔なくチャレンジすることを応援します!
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